補聴器を選ぶとき、形状に関して「耳かけ型」と「耳あな型」どちらの方が良いのだろうかと悩むことはありませんか?
私は補聴器歴30年余りの中で耳あな型補聴器を10年使っていました。
この10年間で感じた耳あな型補聴器のメリットとデメリットをご紹介します。
長く使い続ける補聴器となるだけに、耳あな型のどんなところが気になるか、利点は求めているものか、欠点は許容できる内容か、是非参考にしてみてください。
メリット
- 目立ちにくい
- 雨・汗の対応◯
- 外れにくく着脱しやすい
- マスクなどと干渉せず雑音も入りにくい
デメリット
- 形状による制限
- 機能上の制限
- 電池持ち・交換の手間
この記事は私が15歳からの10年間、学生時代から会社員時代にまたがり使用していたワイデックス耳あな型補聴器P-CICの体験談です。
メリット
目立ちにくい
現在の耳かけ型補聴器も小さく目立ちにくいものが多く、逆にデザイン性の高さや着飾ってオシャレに楽しむスタイルもありますね。
とはいえ小さく目立たず自然に見える、という点を重視する場合には大きな利点です。
学生時代のクラスメート、就職活動時の面接官、就職先の方々へ補聴器装用であることを申告することがあっても大概見た目にわからないと言われます。
(認識してもらえない、というデメリットと捉えることも。)
身につけるものは小さくシンプルに、といった好みに合わせるのも一つの選択肢でしょう。
お気に入りと感じることも長く使い続ける要素ではないでしょうか。
雨・汗への対応
補聴器の大敵である水気に対して、耳あなに入る小ささゆえに外部からの雨や汗に影響を受けにくい点が大きなメリットです。
補聴器の平均使用(耐用)年数5年前後と言われる中、汗の影響が少なく済むのが10年間使い続けられたポイントです。
故障を防止して長く使い続けるため、日々の清掃と数ヶ月に一度は補聴器店で定期クリーニングも欠かさずに。
運動時にも外れにくい
一見、耳に保持されやすいのは耳かけ型だと思われますが逆です。
耳うえに乗っかった本体が激しい動きで耳から外れるとそのまま耳あなからも抜けて落下しやすいです。
フィットした耳あな型ほど安定感抜群です。
学生時代、体育の授業におけるあらゆる運動でも相当の動き・衝撃があっても外れませんでした。
水泳の授業ではもちろん補聴器を外してますよ。
あと外れそうになると補聴器と耳あなに隙間ができて副作用的にピーッとハウリングするんですよね。
警告音みたいな感じで予兆と捉えてまた耳に押し込む所作が自然に身につきます。経験談。
なお、機種によっては更に外れにくくするアタッチメントがオプションで用意されていたりもします。
スポーツを楽しむ方には汗対策も含めて、耳あな型をおすすめする理由になります。
着脱しやすい
外れにくいという話と矛盾するうえに小さいと扱いにくいのではと思われますか?
耳から外すときにはテグスと呼ばれる本体から伸びている線をつまんで外すだけ。
耳あなからピンと線が伸びてる様はちょっぴり見た目が残念なポイントではあります。
着ける時には本体・イヤーチップ・イヤーモールド、耳あなに入れるという動作は種類問わず変わりません。
押し込むだけでも入れられたり、コツを掴めば回転させつつ抵抗なく着脱できるようになりますよ。
耳かけ型の場合には文字通り、ここに更に耳の上に乗せる動作が人によっては手間に感じられることでしょう。
扱いに関しては短時間のレンタルでも実感できる部分ですので是非とも補聴器店に相談して実物を試してみてください。
マスクなどと干渉しない
マスクに干渉しない点は耳かけ型との決定的な違いでしょう。
耳かけ型はマスクを外す際に気をつけないと一緒に耳から外れかねません。
私自身、よく外れて落とします。
流石に繰り返して慣れてきましたが今も割と気を使いますね。
対策としてオーバーヘッド型のマスクや、マスクを首にかける「くびにかけるくん」なるアイテムもありますのでご参考に。
その他メガネ、帽子や長髪にも干渉しないことは耳あな型のメリットです。
雑音が入りにくい
耳かけ型の場合マスクやメガネなどに触れて発生する雑音のほか、日常的に気になる音として風切り音があります。
耳かけ型は耳の外に露出し、耳あな型は耳の中に入る形状からしてイメージが湧くかもしれません。
グレードによっては内部のソフトウェアによって風音含む抑制機能が付いたりしますが、耳あな型ならば物理的にノイズが入りにくいのです。
調整によって軽減できる部分もあるので今、気になっているという場合には補聴器店で相談してみましょう。
デメリット
形状による制限
根本的な問題として装用者自身の特性による制限が生じる場合があります。
耳あなの形状が曲がっていたり小さいなどで補聴器内部のパーツ配置が難しい場合があります。
事実、私の場合には耳あなが標準より小さかったために構成に制限がかかった仕様になりました。
通気孔を設ける余裕がなかったため、少し機能性が劣る形になりましたが幸いそれでも不自由なく10年間使い続けられました。
機能上の制限
同等クラスの耳かけ型と比較した場合に機能が少ないです。
カタログの機能対応表を見ると一目瞭然、アプリ対応や騒音抑制、環境対応などの機能が限定的です。
しかし誰もが最上位グレードを選べるわけでもなし、高いし。
必要な性能で選んだ結果ならば少ない機能でも不足に思うことはないでしょう。
電池持ち・交換の手間
私が現在使用している耳かけ型補聴器(電池種PR41)の仕様上の電池持ち150時間前後に対し
本記事例の耳あな型補聴器(電池種PR536)だと100時間前後の電池持ちとなります。
比較すると7割ほどに電池持ちが少ないです。
大きいほどに電池持ちに余裕ができるのはどんな電子機器でも一緒ですね。
そして本体と電池のサイズ感から、電池交換作業が易しくないことは気にかけるべき点です。
私の例では20歳前後の時期で手元の不自由を感じたことはありませんが、勤務中に不意に電池が切れ、立ったまま電池交換作業をすることなどもよくありました。
個々人の事情に合わせて必ず実物を触って検討することをおすすめします。
まとめ
機能性重視なら「耳かけ型」がおすすめ
補聴器選びの参考に【WIDEX(ワイデックス)E2-F2レビュー】私は現在、上記記事でご紹介している耳かけ型補聴器を使用しています。
選んだ理由は私の使用環境下、耳あな型のメリット部分が耳かけ型の仕様で充分に感じたこと(見た目気にせず運動も減って汗をかく機会も減少)、そして電池持ちやアプリ対応、聞こえ方の機能面で優位差があったためです。
そうはいっても技術は日進月歩、世代を経ていくごとに雑音抑制や環境適応などビックリするほど進化しています。
今のあなたに必要な性能を、どうか現物で試してみてください。
最後に
補聴器を選ぶ際にはこれらメリットデメリットを気にかけつつ、
繰り返しになりますが認定補聴器専門店などでスタッフさんと相談し試聴を重ねながらご検討ください。
今後も続々と新製品が発表され技術も革新していくことでしょう。
ここに挙げたデメリットをくつがえすような、小さいままに高機能化したり、見た目にも優れるデザイン補聴器など選択肢も広がっていくはずです。
私の“今は“耳かけ型補聴器推しですがこれもまた変化していくことが楽しみでもあります。
悩むことも多いかと思いますが選択肢があることを楽しみつつ、あなたの耳に携わる相棒が素敵な存在だと感じられる補聴器ライフになることを願っています。