補聴器について知りたい時、カタログを見てもピンとこなかったり何を調べたら良いかもわからないといったことはないでしょうか。
今回、私が現在使用している機種のユーザーレビューという形で気になる点をピックアップしてみました。
機種の特徴を深く掘り下げるよりは補聴器を使って日常生活でどんな所が気になるのかについてを中心にご紹介します。
このレビューを通じて使用感のイメージが湧き補聴器を知るきっかけになれば幸いです。
- 耳かけ式補聴器「E2-F2」の概要
- 補聴器を実際に使ってみて感じること
- 良い点、気になる点
自己紹介
はじめまして。ナトラです。
本記事が投稿1本目となる為、プロフィールページとは別に簡単な自己紹介をさせてください。
私は物心ついて以来の高度感音性難聴者で両耳に補聴器を装用し続け30年余り。過去さかのぼり補聴器を5台ほど乗り継いできました。
先代は同じ耳かけ型補聴器「C2-FS」、その更に前は耳あな型補聴器「P-CIC」を、過去それぞれ7年前後使用して更新する頻度で現在の機種が今年4年目の使用歴となります。
私の実体験が皆様のお役に立てば何よりです。
機器概要
外観
小さいです。軽いです。重さを感じるということは一切なく一日中装着していて蒸れたり痛くなったりも全くありません。
私が選んだカラーは肌色に合わせたウォームベージュ。マットな質感で主張が少ないデザイン。耳裏に隠れるくらい小さいので耳周りを出したショートヘアーであってもほぼ見えませんね。カラーバリエーションは全10色。人によっては両耳それぞれ別色を選んで判別しやすくしている方もいるようです。
オーディオ系でよく見られる左右色分けの例は右:赤、左:青ですよね。私の補聴器も内側に判別用のカラーポイントが入っています。
慣れると手に取った感覚で左右判別できて今はカラーマーカーを目にすることもなく装着しています。外観から自然に左右判別できますし耳にかける形の為に左右取り違えて装着することは「できない」と言ってもよいほど間違いはありません。
付属品
同梱物は本体一式が収められているパッケージと乾燥ケース。クッション材付き携帯ケースは常に装用し続ける私のような人にはあまり出番がありませんが場面次第で着用したい人に持ち運びに便利なケース。
乾燥ケースと中に入れる乾燥剤。補聴器は湿気が敵です。就寝時など自宅での保管場所の定位置になります。乾燥剤は定期的に交換。青い粒々の色が赤っぽく変わったら交換のサイン!
左上から時計回りに、サイズ違いイヤーチップにクリーニングクロス、各種清掃用ブラシ・ピック。日々のお手入れに。左下の専用治具は補聴器本体のカバーを開けるためのものですが一度も利用したことがありません。
未だに未開封なのは両耳それぞれに1セットずつ付いてきたので1セット分丸々手付かずで残っていました。
基本情報
タイトルからして型式「E2-F2」と言われても全くわからないでしょうし、補聴器の型式から検索して本記事に辿り着く人もいないかと思います。何せ4年前の機種になりますから。英数字だけではイメージも湧きにくいので型式からわかる基本情報をさっくりご説明。
- WIDEX:デンマークで創業した補聴器メーカー
- E:基本性能の違いを分類したシリーズの頭文字。
EVOKE(イヴォーク)シリーズのE。「呼び起こす」という意味だそうですよ。
シリーズの特徴として「1秒間に8億回の処理と低消費電流、原音を忠実に再現する機能」よくわからないけどすごい。 - 2:機能の違いを分類した数字。このシリーズはクラス1から4まで。数字が大きいほど多機能・高機能。
- F2:外観や装用方法の違いを分類したモデル形状の表記。耳あな型だったり耳かけ型だったり。
仕様
- 値段:片耳240,000円・両耳430,000円:非課税
- 使用電池:PR41ボタン電池…取り扱い店多く調達には困りません。
- 電池寿命連続時間(約):140-160h…仕様上の数字。実際には100h未満、私の使い方にも原因あり。
- 防塵防水国際保護等級:IP68…雨でずぶ濡れになるくらいは全然平気。
- EVOKEアプリ:対応…Bluetoothでスマホと接続できます。
上記の他にもカタログを見ると見慣れない表記が多く出てきますが(「90db最大出力(最大OSP L90)」とか「最大音響利得(HFAーFOG)」とか)、今回はわかりやすい仕様だけ抜粋してみました。
値段
値段の高さにまず目を引かれるかと思いますが…あくまでも私の聴力に合わせた機能を備えた補装具ということにおいて妥当な価格帯であり誰にでも当てはまるものではないことをお伝えしておきます。
補聴器選びは認定専門店のスタッフさんとじっくり相談するべし。補助金については私の場合、の注釈付きですが5万円ほど出ました。消費税はかからない非課税対象品。
電池
PR41ボタン電池は特殊なものではなく一般に流通しており補聴器販売店や量販店で購入できます。メーカー価格は1パック6個入り1000円程度。私は補聴器専門店での定期クリーニングのついでに廃電池の回収と合わせて安売り時にまとめ買いしています。
小さいです。誤飲が懸念されるご家庭などでは取り扱いにご注意。
電池持ち
カタログスペック上では150時間前後とありますが、私の場合はおよそ5日間、80時間ほど使用して電池交換を行います。
これには理由があります。
補聴器用には空気電池が採用されています。詳細は省略しますが電池利用時にシールを剥がした時点から常に放電し続け、補聴器未利用時にも電池が消耗します。したがって電池寿命と補聴器使用時間が一致しない場合があります。
加えて私の使い方による理由。補聴器に湿気は敵なので就寝時等に乾燥ケースに入れますが空気電池は乾燥が敵です。消耗が早くなります。しかしズボラな私はお構いなく補聴器から電池を取り出さずに乾燥ケースにしまう為、電池寿命が早まってしまいます。自業自得。付属の乾燥ケースには天面にわざわざ電池置き用の磁石シートまで用意されているのに…!
あとはスマホにBluetooth接続して音楽聴いたりなどして余計に電池消耗を早める使い方をしていることが原因となりますのでこれもまた私の使い方の問題です。ご参考までに。
防水
防塵防水規格IP68、等級的には最上級です。気になるシチュエーションとしては、突然の雨などで濡れてしまいウン十万円する精密機械が壊れやしないだろうか…という不安かと思いますが問題ありません。十分な防水能力です。
ただし湿気には弱いので装着したままお風呂に入るといったことは不可。よく防水をうたったスマホだからお風呂場に持ち込んでのんびり動画視聴といったお話が出ることがありますが、これも大概湿気で傷める要因になりますよね。
多少濡れても全然平気とは言いつつも、きちんとその後のケアとして拭き取り・乾燥は忘れずに。
アプリ
この補聴器を選んだ理由の一つにもなります。私はiPhoneを使っていますがBluetooth接続ができスマホからの音声を直接補聴器へ届けられること、スマホアプリ上で音質調整などが可能であることに惹かれました。
実際にこの補聴器を使い続けて4年間、毎日Bluetooth接続で音楽や動画視聴などで活用し自前のイコライザー(音質調整)設定を登録して周辺環境・場面に応じて音の聞こえ方を使い分けるなどのアプリ利用をしています。
注意点としてはBluetooth規格の問題になりますが駅前繁華街などの人混みでは通信が途切れがちになります。
ちなみに、購入相談時点で店員さんからこの点は実体験として伝えてくださいまして、この問題点は事前に把握できていました。信頼できる販売店との付き合いはジャンル問わず大切ですね。
あとは自宅環境では電子レンジの使用中近くにいるとこれまた通信がぶつ切りになってしまいます。電波干渉を体感できます。(?)
「iPhoneを探す」のような機能もあるのでどこかに置き忘れた!なんて場合にも安心?です。GPSの精度上、ピンポイントでの捜索にはもう少し足りませんが一大事には助けになることでしょう。
使用感
- 使い方…電源ボタンがありません
- 聞こえ方…日常生活に十分な聴力サポート
- ノイズ…気になることはほぼ無し。風切り音が多少耳につくかも。調整可能。
- ハウリング(ピーピー音)…歴代補聴器と比べて大幅に軽減
- 耐久性…地面に落としてしまうくらいでは問題なし
使い方
補聴器の電源入り切りの仕方、使用時は電池ふたを閉めて(もちろん電池入れた状態で)オンです。オフにするときは電池ふたを開ける。電源ボタンはありません。電源オン・オフするたびにふたを開け閉めするのでその際に電池が外れて落っこちる恐れがあります。
気になる所として電源が入ってから立ち上がり、実際に聞こえるようになるまでにおよそ10秒弱かかります。
少し困る具体的な例だと散髪時などでしょうか。理容室などで私は補聴器を外します。髪を洗ったり耳周りをカットするのに不都合ですからね。終わった後、補聴器の電池ふた閉め→耳に装着、ここまで2秒程度。その後8秒間くらいはまだ補聴器が立ちあがっておらず聞こえない状態です。相手からすると謎の空白時間ができてしまって微妙に気まずい…のでまず手元で電池入れて少し待ってから耳に装着、みたいな行動をとるのですがこれも微妙にスマートでない感を勝手に思ってしまっています。そんな感じ。
操作できるボタンは一つだけ。プログラム切り替えスイッチ。これは便利、多用しています。あらかじめ設定しておいたモードにボタンを押すたび順送りで切り替わります。
私はお店で相談しながらセットアップしてもらった①万能②スピーチ(声特化の音質で音量増)③快適(ノイズ中心に音量カット)の3通り。アプリ利用前提になりますが加えてアプリ上の操作で自作した静寂モードを使い分けすることもしています。
会議の場では②スピーチでより聞き取りやすく、電車内などでは③快適でアナウンス程度は聞こえる範囲で騒音カット、など。非常に使い勝手が良いです。
聞こえ方
補聴器なしではセミの鳴声も聞こえない程度の難聴者である私ですが、日常生活上、仕事の上での聞こえ方に広くカバーしてもらっています。
やや辛いのは近頃多いテレワーク、Web会議。会社支給の環境だとPCスピーカーからの音声などは非常に聴き取りづらかったり。音量上げると音割れして余計に聞こえづらいので苦労しています。
ノイズ
外観の説明で、小さく耳裏に隠れるので短髪でも見えにくい、と書きましたが、では長髪の場合補聴器に触れて雑音が出たりして聞こえにくいかというとそれもありません。
風でなびいて補聴器表面をワサワサと撫でている間はさすがにシャカシャカ音が出ますが、風切り音についても同様で強い音が聞こえるならそれはもう普通に環境音と捉えてしまって個人的にはノイズだと感じることはないですね。
ノイズ含めた聞こえ方は調整できます。販売店で相談し詳細にチューニング可能。
ハウリング
私が補聴器を乗り継いできて、1番に進化を実感して感動してきた要素です。電話をする帽子をかぶる食事歯磨き、色々な場面でハウリングを経験してきましたが現在の補聴器ではほぼ解消されています。本当に驚き。マスクとメガネをして帽子をかぶっていても嫌なピーピー音は鳴りません。
なお、仕事やプライベート両方でヘルメットを着用することが多いのですが、この場合にはいまだにハウリングが気になることがあります。
耐久性
マスク生活が日常的になって着け外しの機会も多いこの頃、いきおい耳かけ型補聴器も一緒に外れてしまうことは少なくないです。耳元からコンクリに落下…なんてことがマスク関係なく割と何度かやってしまった経験があるのですが、過去を振り返っても床落ちが原因での破損・故障はたったの一度もありません。すごくない?本体の軽さゆえなのでしょうか。
補聴器の敵は湿気!ということをここまでに何度か書いてきましたが、実際のところ耳周りまで汗をかいた・雨ざらしといったシチュエーションの後に補聴器の乾燥を怠ると、音が小さくなったりノイズが入ったりといった状態になり修理が必要となります。
故障部位によっては修理預かり数週間、1万円前後の請求にもなりますのでその辺りは手をかける必要あり。
逆を言えば乾燥にさえ気を使っていれば取り扱いに神経質にならなくても補聴器は頑張ってくれますよと思ってもらえれば。
あとは定期的に補聴器専門店でクリーニングをしてあげれば申し分なし。
まとめ
良い点
- 装用していることがわからない・感じないほどに小さく軽くシンプルな形状
- 耐久性が高く操作も単純で取り扱いに困らない
- Bluetooth接続でスマホからの音声がダイレクトに聞き取れる
- アプリ内で簡単に調整でき自分好みの設定登録が可能
気になる点
- 電源入切が電池ふた開閉で電池が外れやすい(小ささとのトレードオフ)
- 電源入り時、立ち上がりの遅さがやや気になる(10秒程度)
- 人混みなど特定条件下ではBluetooth接続が切れやすい(Bluetooth規格上の問題)
結論として、小さなボディに必要十分な機能が備わっている点で不足分を補って余りある性能です。不必要なオプションなどは一切なくシンプルで扱いやすい使用4年目の現在でもまだまだ長く使い続けたい信頼できる補聴器です。
ここまで、私が現在使用している補聴器について実体験から気になったことをピックアップして紹介させていただきました。簡素にまとめたつもりでしたが思いのほか長文に…今回初めての投稿なのもあってまとまりに欠き、記事1本では説明しきれていないこと多々ありますし、人それぞれ気になる部分も異なることでしょう。今後も投稿し続け内容を充実させていきます。
本記事がわずかにでもあなたの知識にプラスになったのなら嬉しいです。
最後に…大事なこと
補聴器は医療機器です。購入にあたっては必ず医師の診断を受けた上で専門店で相談することをお勧めします。
難しくとらえず、コンタクトレンズ等と同じようにお医者さんに診てもらってアフターケアも受けてくださいねということ
参考:「聞こえにくいと感じたら」
厚生労働省のサイトです。