お店の電池コーナーへ行っても種類が多すぎてどれが欲しいものかわからず戸惑う経験はありませんか。
ネット検索してもズラ〜って出てきてこれまたどれを選んだらよいのか迷ってしまったり。
この記事では補聴器用電池の取り扱いに疑問や不安のある方へ、簡単な種類の見分け方や長持ちさせるポイント、廃棄にいたるまでの一連の使い方を私の実体験を通じて不安解消をお手伝いします。
- 空気電池が補聴器用である理由…小さくて大容量、安定した電圧
- 見分け方…世界共通規格でわかりやすい配色
- 買い方…どこでも一緒
- 捨て方…量販店の回収缶や補聴器店へ
- 長持ちさせるコツ…敵は低温・乾燥・二酸化炭素
- 私の使い方…電池持ちは5日、使用80時間ほど
なお、私の補聴器に使用している電池は「PR41」です。私の体験談としてのお話になるため個別に記述がない場合PR41について語っているものとしてご留意ください。私が装用している補聴器についてはこちらの記事へ。
空気電池とは
- 正式名称…空気亜鉛電池
- 特徴…使い終わるまで電圧が安定かつ大容量
- 互換性…補聴器以外にも使えるけれど補聴器に必須なため実質補聴器専用
- Tips…コロナ禍で体温計の電池需要が高まり、各種電池在庫がなくなって転用されるような事態も。補聴器ユーザーにとって電池の有無は死活問題。必要な人に行き渡るようきちんと使い分けを。
解説:補聴器用空気電池(空気亜鉛電池)とは陰極に亜鉛、陽極に酸素を使用しておりその間にイオンを運ぶ電解液が入っておりシールを剥がすことで小穴から空気が入りその酸素との化学変化で電気が起こります。
解説文、難解ですね。考えなくてよいです。
私は学生の頃、真面目に勉強して臨んだ試験で0点をとった科目があります。自分でも衝撃でした。のび太かよ、と思いました。それが化学です。しかし現職務上でも化学の知識を求められる場面もあり今なお勉強中です。辛い。
何の話でしたか。つまるところ電池の+面にシールが貼ってあって、シールを剥がすと使えるようになるよ、という電池ですね。
特徴として大容量、安定した電圧出力、といったことが挙げられます。
大容量とは即ち長く使える、ということ。何と比較して大容量?どれだけの電池持ちなの?という点については次項以降の「種類」での比較や「私の使い方」実体験にてご紹介します。
種類
型番の違い
補聴器用空気電池の型番はPR◯◯(丸には数字が入る)と表記されます。PR41やPR536など。
その他パッケージやシールに+312などの数字が書かれていたりしますがここでは「PR〜」だけ注目しましょう。
PR〜と間違えやすいものにLR、SRがあります。ややこしい。一覧表で簡単にまとめてみます。
型番 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
LR〇〇 | 安価で一般的に利用。小容量 | 汎用 |
SR〇〇 | 精密機器向け。中容量 | 時計など |
PR〇〇 | 安定した電圧出力。大容量 | 補聴器 |
LR〇〇
電気化学系英字でアルカリのL。Rは円型を示す。安価で一般的に広く使用され、おもちゃ、電卓や簡易的な体温計にも。使っていると徐々に電圧が下がっていくので時計に使用すると少しずつ時計の進みが遅くなるといった問題が起きやすいです。
SR〇〇
酸化銀のS。使い切るまで電圧が落ちにくい。精密機器に向き容量も多く長期間駆動する腕時計などに用いられます。LRの上位互換。
PR〇〇
空気亜鉛のP。電圧安定大容量。シールを剥がすと常に消耗するので体温計のような使用頻度が少ない機器に適さず、安定した電圧で使い続けられる精密機器、補聴器「用」電池。
また、PR◯◯Pなどと書かれた型番も見つかるかもしれません。特定の補聴器向けに末尾に追加記号がありますが電池の性能向上によって一般用と統合され現在は末尾の有無関係なく使用可能です。
上記3つ、〇〇に入る数字が同じなら規格がほぼ一緒なのでサイズ上は互換性があります。ただしそれぞれの特性上、向き不向きがあること、並びにPRは補聴器用としての役割があることを踏まえ、使用する機器の説明書に書かれた通りの電池を選びましょう。
(コラム)
平時には気にすることもありませんでしたが昨今のような特殊な環境下では電池の在庫が無くなりかねない事態も起こり得ることを体験しました。必要な時、必要な人に届くこと。そのためには推奨されるものを正しく選択することもまた持続可能な社会への取り組みなのではと考えさせられました。
サイズの違い
PR〇〇に入る数字たち。4種類ありますのでこちらも一覧表に。
型番 | 直径×高さ(mm) | 色 |
---|---|---|
PR536(10) | 5.8×3.6 | 黄色 イエロー |
PR41(312) | 7.9×3.6 | 茶色 ブラウン |
PR48(13) | 7.9×5.4 | 橙色 オレンジ |
PR44(675) | 11.6×5.4 | 青色 ブルー |
上から順にサイズ、容量が大きくなります。型番の数値と容量の大きさ順が合致しないのは国際規格上のコード表示だそうで、更に難しくなるのでこの辺で。PR〇〇は国内での呼称になり、国外ではかっこ内の数字が一般的な呼称とのこと。世界共通で色分けされているのでパッケージを見て識別しやすいです。
メーカーによる違い
電池メーカーはソニー、パナソニックといった国内で一般的な企業のほか、シーメンス、パワーワンといった人によっては馴染みの薄かったり、補聴器と同じメーカーの電池を推奨されたりとここも選び方に迷うかもしれません。
この点においても世界共通規格であることが活きてきます。どれも大差ないと言って良く、違いとして現れるのは容量くらいですが使用環境による変動の方が圧倒的に大きい程度の差です。
PR+色だけ把握してあとは安さで選んでよいでしょう。
見分け方
前項の色分けをご参考に。同じ大きさの電池LRやSRは各社オリジナルのパッケージデザインだったりパッと見では分かりにくいことが。
その点PRは世界共通配色で一目瞭然。見た目はこんな感じ。
補聴器用の電池は「PR〜」とだけ頭にぼんやり入れつつ、今使っている電池のシール、パッケージの色と同じかで見分けましょう。
買い方
- どこで買っても一緒
- 使用期限…製造から2年〜が目安
- 価格…相場を知っておくと判断基準になる
結論、どこで購入しても問題ありません。
前項「種類」で記載したような仕様が規格によって定められています。
ただし、安かろう悪かろうは存在しますので判断基準として気にするべき点2つだけご紹介。
使用期限
各種電池の例にたがわず、空気電池にも使用推奨期限が設定されています。製造から 2年程度とされていることが多くパッケージの裏面に使用推奨期限(年ー月)が印字されているので現物を見て購入される際にはチェックしましょう。
ネットで購入する場合は説明欄などに使用期限について書かれているかご確認を。レビューがあればそれを見るのも有効ですね。
使用期限が切れても即使えないといったことはありませんが、かなり電池寿命が短くなります。私もうっかり引き出しにしまったまま期限切れした電池を発見して、使ってみたら1日持たないなんてことがありましたね。
価格
当然気になるところ。空気電池のメーカー価格(希望小売価格)はおおよそ1000円程。実勢価格はその半分ほどに。振れ幅ありますがおおよそ6個入り1パックが400±200円といった価格帯をよく目にしますね。
ここで100円台が出てくると少し疑いの目を持つべきでしょうか。大量のまとめ買い、使用期限が短いなどの注釈があればまだしも、品質そのものが劣悪ではないかという懸念が生まれますので要注意。
おすすめの買い方
どこで買っても一緒とはいえ自分で判断して選ぶのも難儀と思われる方向きのおすすめの買い方をひとつ。
継続してアフターフォローをしてくれる補聴器店での購入です。ネット最安値と比較されたら割高ですがそれでもおすすめできる理由があります。
補聴器は定期的にクリーニングを行い、日々の聞こえ方に合わせた調整や聴力測定の結果に合わせていくことが重要です。しかし人によってはわざわざ出向くのも面倒だな…と敬遠してしまう方もおられるかと思います。
大事なことなので繰り返します。補聴器は継続的に調整することが重要です。
ここで「電池を買いに行く」ということをお店に行く理由にできればいいと思うのです。ついでに補聴器のクリーニングや調整の相談をするようにしましょう。廃電池の回収もしてくれますよ。
捨て方
一般的に「発火などのトラブルを防ぐために表面にテープを貼り、協力店のボタン電池回収缶へ入れましょう」と言われます。これが微妙に面倒くさい。いえ、面倒くさがらずに皆様リサイクルにご協力を。SDGsです。
協力店
その回収缶どこにあるの?とかようやく見つけても回収缶の投入口小さくない?とかなります。
ボタン電池しか入らないようになっているからこそ投入口が小さいのです。
しかし入れにくすぎないか?なんかこう、じょうごみたいのでザラーって投入できませんかね。
補聴器店
私はもっぱらこちらで。店員さんにまとめて渡してしまっています。何せそれなりの消費量。3ヶ月程度で40個ほどの使用済み電池が手元に溜まります。
おすすめの買い方にて補聴器店を推したのは電池廃棄にも楽だからです。補聴器店にて定期クリーニングをお願いする際ついでに。更に電池安売りしてたら買い足します。
長持ちさせるポイント
- 温度…寒いと電池もやる気をなくす
- 湿度…乾燥すると調子悪い
- 空気…酸素を吸ってエネルギーを生む。生き物と同じ。二酸化炭素はほどほどに。
温度
電池が冷えていると性能を発揮しにくいのは一般的にも知られていることかも知れません。
暖房ガンガン効かせて乾燥してそれでも気温が低いといった極端な環境では寿命が半分近くにまで短くなることがあります。
もはやここまでくれば環境のせいと許容して、電池の質が悪いんじゃないかとか神経質にならずに受け入れてしまいましょう。
そのためにも、電池寿命が低下する要因を知っておくことが肝要。知識はメンタルにも役立ちます。
湿度
乾燥した環境下で使い続けると電池寿命6割ほどに減少。
補聴器未使用時、乾燥ケースには補聴器と一緒にしまわずにケースの外に出しましょう。
私が補聴器を購入した際に1式でついてきた補聴器乾燥ケースは蓋上に電池用磁石シートが付属しています。電池を蓋面の磁石に付けておけば転がって紛失してしまう心配は不要。
空気
二酸化炭素濃度が高いと発電効率低下し寿命7割ほどに減少。Oが2つ、Cが1つのCO2です。苦手な化学要素が出てきましたがこの程度なら私でも理解可能。
石油やガス式の暖房器具とは相性が悪いということになるのですがそのために暖房を控えるなどはナンセンス。そもそも換気は健康面でも重要なので正しく空気の入れ替えを。
また、空気の取り込みを抑制することで消耗を抑える切り口もあります。
電池使用開始時に剥がしたシールを再度空気穴のあるプラス面に貼り付けて保管すると寿命を最大化できますが…これはかなりの手間、私は実行していません。セロハンテープなどを利用するのは粘着物が電極面に付着してトラブルの元になりますので非推奨。
似たような効果を楽に得る方法があります。湿度管理でも紹介した補聴器用乾燥ケースの蓋面保管。プラス面しか磁石にくっつかないようになっているので結果的に空気取り込み穴を塞ぐ形に。一石二鳥とはこのこと。
ここまで紹介しておきながら実際の私の使い方はというと…電池入れたまま乾燥ケースに放り込んでしまうこともしばしば。それでもまぁ電池持ちます。
そんな割と適当な私の使い方、日常の在り方を次項にてご紹介したいと思います。ご参考までに。
私の使い方
空気電池の特性上、シールを剥がしてから1分ほど待たないと電圧が安定しません。
…私は待ちません。すぐに補聴器に入れて使い始めてしまいます。
最初はやや不安定な聞こえですがいっても1分。そのうちに正常になるのです。面倒を感じるくらいなら割り切る気持ち。
補聴器は湿気に弱いので乾燥ケースへ、電池は乾燥に弱いので外してケース外で保管、が推奨なのですが…
ここでも私はズボラさにより、取り外さずにそのまま乾燥ケースへIN。だから電池寿命が仕様より短いのでは。
いいんです、手間より手軽さ。
私の補聴器では80時間ほど使用すると女性的な電子音声で「電池低下」と一言語りかけてきます。
このまま使い続けると1時間おきくらいに繰り返しアナウンスが入り、徐々に音が途切れがちになりつつトータル85時間ほど経過で完全に電池切れとなります。
電池切れアナウンスが聞こえてもまだ5時間くらいは余裕があります。その間に交換しましょう。
私は勤務中に半日以上拘束される可能性もあり別途ストップウォッチを活用して80時間使用を目安に交換のタイミングを図るようにしています。
実際のところ、80時間使用で交換するとなると1日16時間ほど使用した場合で5日間の電池持ち。両耳なので 2個ずつ使用して、1ヶ月で大体12個となり、6個入を2パックを消費します。
新しい電池のシールを剥がしたら、使い終わった電池のプラス面にシールを貼り、使用済み電池を1箇所にまとめて保管。
補聴器用に限らず使い終わった電池はテープを巻いて絶縁してから指定の廃棄を。
ボタン電池はくるっと1周セロテープを巻きましょう。
そして新電池使い始めはやはり1分待たずに使用開始。
補聴器の定期クリーニングのため3ヶ月に一回くらいの頻度で補聴器店へ行きます。
その際に使い終わった電池をまとめて渡してしまうのと、安売りしてたらまとめ買い。そんなサイクルです。
まとめ
私が実際に空気電池PR41を補聴器に使用する日常について、購入から廃棄、使用開始から交換までといった使い方を私なりに振り返ってみました。
あくまでも私の使い方、という中で必ずしも推奨の取り扱いからはずれた部分もありますがそれも一つ、個人の使い方の一例だと見てもらえたら。
この記事を通してあなたの疑問点がひとつでも解消されることを願っています。そしてこれから使い始めることを考えてらっしゃる方には一つの実例として補聴器を身近に感じ取れる材料となれば幸いです。